冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
途端、発言した騎士も含めてカイたちがごくりと唾を呑んだ。

「……小隊長、これって」

「……ああ。ここは俺たちががんばってやらないと、まずいかもしれない」

彼らはとても深刻そうな顔をした。そして「正体がバレないように俺らもがんばらないといけないのか」などとぶつぶつ言葉を交わし合っている。

「何言ってんの? それで、毛づくろいはっ?」

ミリアは、待っていられず宙に浮いた足をぱたぱたさせた。

「まぁ、見に来るだけよりも、俺らが少しでも作業進めてくれる方がここの担当者たちは助かるだろうな。動物課は神獣博士か神獣医で一番忙しい」

「じゃあ、また来ていいっ? 今度はお仕事をちょっとしてみたい!」

侍女としては、少しでも仕事が手伝えるのなら有難かった。不足もない生活をさせてもらっている罪悪感も減る。

カイたちが、やがて小さく噴き出して笑った。

「いいよ。付き合う」

「やったね!」

また、明日の予定ができた。それがミリアは嬉しかった。

「にしても、いつまで持ち上げられているつもりなのかねー」

「女の子としてどうよ」

とうとうカイたちは腹を抱え、場に笑いがどっと溢れたのだった。



楽しい〝待ち〟が、また一つできた。

ミリアは『胡蝶の間』に戻ってきても、寂しさでぼうっとしたりしなかった。その日の昼食も、そして夕食ももりもり食べた。

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