冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「何やら元気が出てきたご様子ですわね」

「えっ」

侍女に言われて、どきっとする。

「食欲も出ていらっしゃるようですし、安心しましたわ。王太子殿下と王妃陛下も、気にかけておいでのようでしたから」

第二王子の母と、兄だ。

それが嘘かほんとか分からなくて、どうなんだろうなとミリアは思う。

(大国の第一王子様と、王妃様、だもんなぁ……)

嫁を得た息子が、今も離宮に一度も足を運んでいないことを放っておいている。近付いても来ないので、息子の離縁を予想して興味すらないのではないだろうか。

「本日は離宮の外に出られたのでしょう? 散歩は良いことですわ。引きこもっておられると、体調にもよくないですし」

「えっ、まぁ、そうですね……」

「明日は、日焼け止めを多く塗りましょうか? お手伝いさせていただきますが」

「いえ大丈夫ですっ、化粧だって自分でしますから」

ミリアは焦ったが、侍女たちはそうですかと言って夕食の後片付けに入ってくれた。

(本当だったら、外出する予定はなかったもんね……)

離宮の外に行く気になれたのは、ここを任されているというあの騎士たちがミリアの事情を知ったうえで仲良くしてくれたからだ。

(――姫じゃなかったのに、受け入れてくれた)

友達ができたようで嬉しい。

またはにかみそうになつて、ミリアは侍女たちの手前表情を引き締める。

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