冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「まったく、陛下も何を考えているのかしら。あまり国交も少ないのだから、獣人族のことも知らず一人で来たコンスタンシア姫も、さぞ心細いでしょうねぇ」

母の追っての言葉に、アンドレアの眉がむむぅっと寄る。

「泣かずにがんばっているなんて、健気だわ」

さらに追い打ちをかけるみたいに続けられた母の声を聞いて、アンドレアもびくっとした。

あっさり、泣いてくれるのならまだ良かった。

嫁入りした日から一週間、コンスタンシアは沈黙している。寄こした侍女からも涙を見せたという報告は聞いていない。

話によると、あまり侍女たちに世話もさせていないという。そばに寄せ付けず、最低限の世話をさせただけで帰し、ほぼ『胡蝶の間』に引きこもっているとか。

「……俺の、せいか」

この際、はっきり伝えた方がいいのかもしれない。

結婚を白紙にするつもりであること。愛する気はないこと――。

(半年だけ、そこにいることを協力してくれるように打ち明けてみようか?)

その時、眩しい金髪を揺らして、兄のエミリオがにんまりとした。目だけはアンデリオと同じルビーの色だ。

「君は、強がりの子に弱いよねぇ」

「うるさいです」

「ふふっ、いちおうは悪いと思っているんだ? 僕から言うと〝外道〟だけどね、父上といい勝負じゃない?」

にっこりと笑っているけれど、目は極寒だ。

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