冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
「おじいさん上手ですね! それに、みんなあなたが好きみたい」

「ほっほっほ、それは嬉しいね」

そんなのんびりな会話がされるそばで、なぜかカイたちが緊張で強張っていた。口を一文字に閉じて、これ以上表情が崩壊するのを防いでいる。

「この子たちは、君のことも好きみたいだよ。神獣は悪い子には近付かないんだ」

「そうなんですか?」

ミリアは抱え上げた次の子を見て、それから、そばで待っている仔犬たちにも目を向けた。

「でも私、いい子でもないからなぁ」

「どうして?」

今も、騙して身代わりをしている。

それに――と、ミリアは〝本当の自分自身のこと〟も思い返す。

「……いい子だったら、置いてけぼりにしないかなって」

膝の上の子犬をきゅっと抱き締めて、遠い空を見上げたミリアを、カイたちがハッとしたように見た。

彼らにもまだ話していなかったけれど、ミリアは捨て子だ。

待っていてと言われたのに、いくら待っても両親は戻らなかった。

(そして巡り巡って、また捨てられた――)

そうしたら、コンスタンシアが助けてくれたのだ。

差し伸べられた手が温かかった。初めて優しくされて、必要とされた。

コンスタンシアに拾われて、ミリアは世界が変わったのだ。

彼女のために存在しようと思った。危ないことで影武者になって、たとえ命を落としてしまっても構わない。

「おいてけぼり?」

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