冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
咄嗟に身体が動いて、ミリアはアンドレアのマントを掴んでしまった。彼の部下であるカイたちを巻き込んだのは自分なのだ。

「ごめんなさいっ、違うんですっ」

彼のルビーみたいな目が戻ってくる。

相手は怖い第二王子だった。目が合って思い出したミリアは、さーっと血の気が引いて、おそるおそる手を離した。

「ご、ご、ごめんなさ――ひぇっ」

不意にアンドレアがしゃがんできた。

「なんだ。何か言いたいことがあるのなら、言ってみるといい」

目線を合わせてそう言われた。

「……え、と、マントを掴んでしまったこと、怒ってないんですか?」

「少し引っ張られただけだろう。それで怒る紳士というのも、随分性悪だと思うが」

ミリアは反応に困った。

(まさにあなた様のイメージがそうなんですけど……)

すると、今度は、もっと柔らかな声で促されてしまった。

「さあ、話してみるといい」

「……えと、その、私は国から侍女を一人も連れてきませんでした。騎士たちは、話し相手になってくれたのです。それで、えぇと、この国のことをあまり知りませんので、神獣の子供を世話していると知って見たくて、連れてきたもらったというか」

緊張で言葉がつっかえる。目の前には第二王子の顔があるし、緊張で頭の中でぐるぐるしてどうしていいのか分からない。

こんなの〝姫〟の言葉遣いとは遠すぎる。ミリアは緊張感で胃がきりきりした。
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