冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
幼い頃に名前も知らない同士で出会い、恋心を抱いた双方の対面だ。

その話題は国の行事に花を添え、普段より笑顔の多い楽しい会にミリアにも見えた。

「姫様良かったですね! アーサー殿下はなんと!?」

「ふふっ、急かしすぎよ。……これからお父様たちも交えて話をするの。しばらく彼は泊まるから、ミリアとの散歩の時間が少し減るかも……」

「全然平気ですよ! うわああああ嬉しいおめでとうございますっ!」

言いながら早速飛び掛かっていたミリアを、護衛騎士隊長が「だから気が早い!」と首の後ろを捕まえて止めた。

だが、そう喜んだ数時間後のことだった。

ガイエンザル国王がミリアたちを集め、一枚の紙を掲げた。

「えーと……とくにミリアは落ち着いて聞いて欲しいんだが」

「なぜ名指しなんですか、もがっ」

「よくやったハーバー騎士隊長。うむ、実はな……その……出席していたラグウルフ王国の王から、コンスタンシアへ二番目の息子との結婚命令がきた」

大変言いづらそうに述べられた内容に、ミリアは護衛騎士隊長の手ごしに叫んでしまった。

(なんて間の悪い!)

それはミリアだけでなく、集められた側近も姫付きの者たちも全員思ったことだった。

ラグウルフ王国は、超大国の獣人国だ。

祖先が神獣と交わったと言われており、貴重な神獣の保護が唯一できる大国として、各国も協力を願っていた。

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