冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
アンドレアが素早く考える。ミリアとしては、彼が逃がさないと言わんばかりに椅子の背を掴んだままなのも気になった。

「今朝、花を贈ったのだが、喜んでいただけただろうか? どんな花が好きなんだ?」

一度に聞かれて悩んだ。

「えーと、はい、花をいただけたのは嬉しく思いました。それから……花、はなんでも好きかと?」

ミリアは、本物のコンスタンシアを思い返しながらそう答えた。

考えている彼女の顔を、アンドレアはじっと見つめていた。嬉しいという感想が棒読みだったのに気付いてか、少し考える。

「もっと嬉しいのが他にあるみたいだな。恥ずかしながら、俺は女性に贈り物をしたことがない、教えてくれないだろうか?」

「え? えーっと……甘いクッキー、とかでしょうか」

「どんなクッキーが好みなんだ?」

「こう、柔らかいものよりも、サクサクとした触感のものが私は好きです」

次々に話しかけられたミリアは、つい『わたくし』と言うのを忘れてそう答えた。

「そうか、覚えておこう」

アンドレアが生真面目に相槌を打った。ようやく椅子から手を離したところで、気付いたように円卓へ目を向ける。

「すまない、先に話をしてしまったな。君も飲むといい」

「あっ、はい」

わざわざ寄せられたので、ミリアは咄嗟にティーカップを両手で取った。

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