冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
忙しなく紅茶を数回飲んだ彼が、唐突にそう切り出してきた。

(よかった! ずっと気になっていたとかそういうわけじゃなさそう!)

ほっとしたミリアは、彼の目が戻って「ん?」と思った。

なぜかアンドレアが、じーっと覗き込んでくる。

(……『が』のあとは何? 気になるんですけど?)

そわそわした直後、ミリアはハッと警戒した。

(もしかして、姫様と違うことが勘付かれそうになっているのでは!?)

そう勘ぐった瞬間、彼女は思わず彼との間に手を置いていた。

「なぜ隠すんだ」

不服そうな声が聞こえてきた。

見てくるからだよ!――とは、第二王子相手に言えるはずもない。

「わ、わたしくが『コンスタンシア』ですからっ」

バレたらまずい、という気持ちでミリアはそんなことを主張した。

今にも手をどかしてくるような雰囲気があった彼が、ぴたりと止まった。ゆっくりと顔を離してくれる。

「――分かっている。君は姫で、強制結婚で俺のもとに来た花嫁だ」

認識していることを伝えられて、ミリアはほっとした。

その様子をアンドレアが眺めていた。手を下ろす仕草もじつと見つめていた彼が、ノック音に気付いて目を向ける。

「殿下、そろそろ次のご公務の時間です」

「ああ、分かった」

そう答えて彼が立ち上がった。ミリアも見送るため、慌てて続く。

「ああ、そうだ、姫」

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