冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
彼が鍛練を始めたのは、乱れた心を落ち着けたい思いがきっかけだった。しかし本格的な訓練へと移り、騎士の道を選び取ったのは、家族や城の者のためになる存在になりたいと思ったからだ。

父の調査書によると、アンドレアが木から落ちたのを見た際、木の葉で見えなかった位置に本物のコンスタンシアがいたことが示唆されていた。

だから彼女は笑ったのか、とアンドレアも納得した。

ミリアは、コンスタンシアを心配させたくなかった。

だから、痛くないよ、平気だよ、と全身で伝えるために笑ったのだ。

「――やはり、しばらくは様子見だな」

アンドレアとしては、ミリアと話しているつもりなのでもどかしい。

だが、もし『君は王女ではないだろう』と言ってしまったら彼女を困らせる。逃げられても困るし、話しができなくなるのは、もっと困る。

彼女と話すには、やはり彼女が第一王女のふりを続けている状況を利用しなければだめなようだ。

父の言った通りになっていて嫌になるが、反抗するためだけに彼女を傷付けるのは嫌だ。

(それにしても……)

アンドレアは、薄化粧の彼女をちらりと思い返す。

普段、コンスタンシアはあれくらいの化粧しかしていないらしい。

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