冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
アンドレアとしては、ミリアの顔をぞんぶんに観察できるので嬉しい。しかしながら全然顔を誤魔化せていないので、アレでいいのだろうかと余計なお節介で思ってしまった。昔見たコンスタンシアとは顔が全然違う。

たぶん、衣装やら遠目やら俯き加減で、普段顔は誤魔化していたのかもしれない。

「……慌てた顔も可愛かったな」

口元がまたにやけそうになった。可哀想ですぐ彼もフォローしたのだが、ほっとする仕草も可愛かった。

嘘がつけないタイプなのだろう。顔も、それから性格も好みすぎて困るほどだ――彼は「俺はどうしたいんだ」と赤くなった頬を袖でこすった。



◇◇◇



「……なんだろう。どうなっているんだろう」

ミリアは、ひとまず食卓に置いた贈り物を前に困惑していた。

言われた通り、翌日にはクッキーが届けられた。

アンドレアの言葉に嘘はなかった。昨日カイたちに案内されて本殿を見せてもらったところ、一階の一部が彼らの待機所に様変わりしていた。ミリアが彼と会っている間に、家具移動がされたのだとか。

「殿下、結婚が嫌なんだよね?」

ミリアの国にまで流れていた『女性関係がだめだめの性悪王子』の噂は嘘だった。

そう仕組んだのは、アンドレア本人だ。花嫁が到着した日にも一切顔は出さなかったし、数日放置した。彼はそれだけ結婚したくなかったのだ。

けれど昨日は、誠意を示して詫びてきたように思う。

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