冷酷な獣人王子に身代わりで嫁いだら、番(つがい)として溺愛されました
花束を贈り、会う席を設けて自分から夫婦だと口にし、今日は約束通りクッキーを贈ってきた。

(――うん、意味が分からない)

頭の中がいっぱいになったミリアは、侍女たちがそろそろ離宮を出た頃だろうと思って本殿へ突撃した。

「これってどういう意味だと思う?」

これまで考えていたことを全部話したうえで尋ねた。仕事部屋になった一階の第一応接室にいたカイたちが、呆れたようにミリアを眺める。

「……来た途端に髪の色を戻すとか、危機感はあるのか?」

今、ミリアの髪色はオレンジに戻っていた。見た目は何も変わっていないのに、顔の雰囲気に似合っているせいか幼い印象になる。

「ごめん。私の魔法力って一番低い方だし、走ってきたら余計に体力消耗して暑くって。誰もいないなと思ったから、といた」

「誰もいないって、俺らはいるんですけど……」

「味方だからってことじゃね?」

こそこそ話した騎士たちが「なるほど」と気の抜けた声で呟いた。彼らは全員、重い王女衣装を感じさせない姿で全力疾走をするミリアを思い浮かべていた。

「それで? 意見は?」

ミリアは、見慣れない軍向けの男性用椅子によいしょっと腰かける。

「はぁ……どうと言われてもな。夫が妻に好意を示している行動じゃね?」

「却下。それは違うね」

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