秋恋 〜愛し君へ〜
「あら、秋いたの⁉︎ ご飯食べる?」

朝食をテーブルに並べながら、お袋が俺の顔をのぞきこんできた。

「いらねぇ」

「なんだか顔色悪いわよ。風邪ひいたんじゃないの?」

「そんなわけないじゃん、馬鹿は風邪ひかないって言うでしょ」

ジャージ姿で髪はボサボサ、ノーメイクの姉貴が口を挟んだ。

「その格好で外出てみろよ三十路女!」

「ムカツク〜ッ!あっ、あんた、どこ行く気?まさかお風呂?やめてよぉ私が入るんだから!」

姉貴は俺を押しのけてさっさと風呂に入ってしまった。
仮面を被った姉貴しか知らずに好意を持ってくれている男たち、本当に気の毒だ。
俺の気持ちはさっぱりところか、湿度の高い梅雨の時期のように重苦しい。家にいても何も変わらない。俺は河川敷へと歩いた。ここは相変わらず穏やかだ。俺はいつも緩やかな傾斜の部分に陣取って空を見上げる。普段は気にも留めない雲の流れも、ここに来れば自然と目に入る。微かな風の音も聞こえる。とにかく心地よい。でも、さすがに夏の間はとてもじゃないがいられない。暑すぎる!それがなんとも残念だ。
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