サンタクロースの贈り物(クリスマス企画)

昼過ぎに学校から帰ってきて机に向かう柾樹さんと、2人きりでいるのが気まずくて…私は外に出た。



お祝いする気分じゃないけど、クリスマスの飾りつけしないとな…。



街中を歩いていたら、あるものが目にとまった。



サンタさんの帽子を被った、ひよこの縫いぐるみ。



手のひらサイズだし、玄関先にちょっと飾るだけで、場所を取らずにクリスマスの雰囲気が出せるかも…。



ゲームの景品みたいだけど、どうやって取るんだろう?



「あれ?梨香さんじゃないですか、お久しぶりです。」



声をかけてきたのは、柾樹さんの元生徒の脩一(シュウイチ)くん。



「久しぶり、もうすっかり『お父さん』ね。」



私は、脩一くんの足に纏わっている小さい子供に視線を向けながら言った。



私より2コ下なんだけど、先越されちゃったな…。



「梨香さんでも、ゲーセンで遊ぶんっすか?」



遊んだことはないけど…。



「500円…かぁ、3回で取れるものなのかな?」



「人によりますけど、欲しいものあったら取りますよ?」



「お願いしていい?」



「じゃあ、コイツ預かってて。」



私が500円玉を渡すと、脩一くんは私に子供を抱っこさせてゲーム機に向かった。



腕の中にいる子供は、可愛くて、温かくて…。



やっぱり子供欲しいなって、思うんだ。












< 9 / 23 >

この作品をシェア

pagetop