冷徹上司の過剰な愛
難波さんに言われた通り、大人しくわたしの上から退いた弟さんはソファに座り直した。


と同時にわたしも体を起こし、乱れた洋服を整える。



「快斗。いくら弟でも限度ってやつがある。気安くあのんに触れたお前が許せない。」


「………。」


「一発殴らせて。」



え!?な、殴る!?


弟さんに近づく難波さんの前に立つと、咄嗟に止めに入った。



「ダメッ……暴力だけはダメです。確かに弟さんは許されないことをしたかもしれない。だけどそれは難波さんを思ってのことで…難波さんのことが大好きだからわたしのことが憎いんだと思います。」


「…だから何?許せって?」


「……はい。元はと言えばわたしが悪いんです。難波さんと釣り合ってないし、釣り合おうとなんの努力もしない…何してもダメダメ。…でもこれから頑張ります!難波さんと釣り合える女になれるようにたくさん努力も勉強もします!だから、「帰る。」



…え?…


見ると、玄関に向かう弟さんがいて…。


わたし、また余計なこと言ってた??



「あのん。少しだけ待ってて?」


「え?…あ、はい。」



弟さんを追うようにリビングから姿を消した難波さん。


…っはあぁ…疲れた…。この1時間、なんかもう……全力で疲れた。
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