冷徹上司の過剰な愛
「あ、カレー…!」



エプロンをつけ直し、カレーを温めていると、難波さんが戻ってきた。



「難波さっ、…………難波さん?」



リビングに戻ってくるなり何も言わず抱きしめられ、ただただ驚く。


どうしたんだろう?…。



「…怒ってる……このまま説教タイムに入ってもいい?」


「え?……あ、えっと…。」



そう、だよね。カレーなんて温めてる余裕なんてないよね。あんなことがあったんだもん…。


難波さんに手を引かれ、再びソファに座らせられた。



「知らない人を家にあげない。そんなこと小学生でも分かるよ?なんで家にあげたの?」


「なんで、って…難波さんの弟さんだったから…。」


「僕の弟って言えば、誰でも家にあげるつもり?」


「…ごめんなさい。」


「………僕が帰って来なかったら今頃……。っはぁ。すっごいイラつく。」



っ、…怒ってる。仕事以外で怒らない難波さんが、今日は苛立ってる。


それもこれもわたしのせい。わたしの油断が招いたこと。
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