冷徹上司の過剰な愛
愛おしい背中を見送り、リビングに戻ると呆然と立ち尽くす。


この家、こんなに広かったっけ?……寂しい。もう会いたい。もう触れたい。


ソファ上のクッションを抱き寄せると、力強く抱きしめた。


8時……難波さんが帰ってくるまで約10時間。それまでにしようと思っていたことが何個かある。


まずは掃除、それから夕飯の準備、そして……。



「っ、…ほんとに来ちゃった…。」



やること全て終わらせ、やって来たのは…。



「もしかして蓮美さん、ですか?」



ドアを開け中に入ると、1人の男性が声を掛けてきた。


胸元に見えるネームプレートには"三木元"の文字が。その名前を見てハッとする。



「あの、初めまして。わたし、舞子の紹介で…。」


「はい。こちらへどうぞ。説明しますね。」



と椅子を引かれそこに座ると、テーブルを挟んで前に三木元さんが座った。



「まずはじめに。この教室の責任者の三木元です。もう聞いてるとは思うけど、僕と舞子は従兄弟の関係になります。」


「舞子から聞きました。よろしくお願いしますっ。」



小さく頭を下げ、拳を握りしめた。
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