冷徹上司の過剰な愛
「っ、……!」



こんなに人で賑わっているのに、どうして見つけてしまうんだろう…。


あの後ろ姿……難波さんだ。その隣には荒牧さんの姿も。


そんな2人の距離はやけに近くてヒヤヒヤする。それに、荒牧さんの足取りはおぼつかず、今にも難波さんの腕が回りそう。



「…触れたら怒るっ…怒るからね、難波さん。」



と背中に念を送るも、その念が通じるはずもなく……難波さんの腕が荒牧さんの腰に触れた。


っ、…………難波さんのばか。


そのまま2人を見つめていると、途中でタクシーを拾い、酔い潰れる荒牧さんを先に乗せた。そのまま難波さんも乗り込むのかと思えば、運転手に何かを告げドアを閉めた。


そして……



「…もしもし?」


『あのん?今どこにいる?家にいる?』


「っ、……。」



すぐ電話を掛けてきた難波さんにドキドキが止まらない。


耳にスマホを当てたまま難波さんの姿を見つめる。



『あのん…?聞いてる?』


「………はい。」
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