冷徹上司の過剰な愛
「あのん…?」


「…帰ります…っ、」



そもそも勝手にここに来て、それも寝てたなんて…なんだかもう……ほんとに申し訳ない。


バッグを持ち、玄関に向かおうとすると、「あのん。」と優しく呼び止められた。


そんなに優しく呼ばれたら…帰れないじゃん。


渋々足を止め振り返ると、そこには笑顔の難波さん……ではなく、どこか苦しそうな表情をした難波さんがいた。



「話しがある。…座って?」



話し…?


その瞬間、嫌な予感が頭いっぱいに広がった。


とりあえず言われた通りソファに腰を下ろすと、難波さんも隣にやってきた。



「……まずは、仕事お疲れ様。良く頑張ったね。」


「…えへへ♪はいっ。」


「ちょっと会わない間に成長した気がする。これでもう蓮美も一人前だね。」



蓮美…?なんで蓮美?あのん、じゃないの??…あ、仕事の話しだから?そこはやっぱり線を引いてるってことなのかな?


色々考えながら難波さんを見ると、いつもの優しい表情が向けられていて、心が温かくなる。
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