すずらんに幸あれ!
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次の日の放課後。
帰宅しようと生徒玄関に到着した時、ちょうど向こう側から昨日の無愛想男子とばったり再会してしまった。
思わず「あっ」と声に出したが、無愛想男子は無視をして私の横を通り過ぎようとする。
今、完全に目が合ったのにスルー!?
あっ、でも私のこと覚えてないか…。
……いや、でもちょっと待って…!?
「あ、あのっ!そっちは1年生の下駄箱ですよ!?」
「…あ?」
慌てて制服の袖を掴んで話しかけると、男の子は立ち止まり、眉を顰めながら振り返った。
何を言ってるんだこいつ、と言わんばかりの顔で見下ろされる。
「1年が1年生の下駄箱に行っちゃ悪いのかよ」
「へっ…?」
彼の口から「1年生」という単語が出てきて、私は目の前にいる男子を見つめながら、ぱちくりと目を瞬かせる。
いちねんせい、ということはつまり───…?
「私より1コ下なの!?」
ちなみに、私は高校2年生である。
しかし、もう会わないであろうこの無愛想イケメンがまさかの年下とは…。
信じられない話だ。