すずらんに幸あれ!

180センチ以上はある高身長に、すらりと長い手足。

艶のあるサラサラの黒髪、少し目つきの悪いぱっちりとしたつり目。

おまけにまつ毛も長い。

「容姿端麗」とはこのことか。

それにしても、こんなにビジュアルが良すぎる男が去年までは中学生だったと考えると想像もできないだろう。

世界三大美人も目が飛び出るくらいびっくりするのでは?


「……ん?あれっ…??」


ふと気がつくと、彼の姿がこつぜんと消えていた。

正門方面へと視線を移すと、いつの間にか無愛想男子は背中を向けてスタスタ歩き出している。

私が考え事をしている隙に、音も立てずに去るなんて……もしや彼は忍者??

……そんなわけないか。

一体、私は何を考えているんだか。


我に返り、やれやれとため息をつきながら上履きからローファーに履き替え、学校を出ようと一歩足を踏み出した時だった。


「………」


正門前に見覚えのある後ろ姿がすぐ目に入った。

じっ…と目を凝らすと、なんとその人物は、昨日何度目かわからない告白をしてきた男子生徒の後ろ姿だったのだ。


「ひぃっ…!?」

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