年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
それは前のような見かけだけのものではなくて、支えるという意思表示に見えた。
もう一人じゃないんだ。
「嫌になったらすぐ行ってくれ。その場で帰ろう」
「はい」
何も怖がることはない。
会食の会場に着くと、お義母さんもちょうどこの場所に到着したばかりなのかまだコートを羽織って立っていた。
「あら、久しぶりね。沙織さん?あのパーティ以来かしら?」
「ご無沙汰しております」
向かい合い、私は深く頭を下げた。
コートを脱ぐとすぐに私の全身を舐め回すように見る。
「今日は私のドレスを着て来たのね?今更私のご機嫌取りかしら?」
お義母さんのスタンスは変わっていないようだ。
相変わらず嫌味ったらしく私の方を見て、私が嫌になる言葉をかける。
でも負けない。
「母さんそういう言い方はやめてくれ。沙織はその日の場所や状況によって色んなドレスを着こなしているんだ」
「あーっそ?まぁいいわ。座りましょう」
私たちに席につくよう促すお義母さん。
息子に会えることは素直に嬉しいのか、ご機嫌だ。
「今日はいいシャンパンが手に入ったそうよ。一緒に飲みましょう」
気分がよさそうに笑ってみせるお義母さん。
こちらは最悪の気分だが、私も小さく笑ってその場を合わせた。