年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
嘘偽りの無い言葉に私の気持ちは救われる。
もう取り繕わなくていい。
ありのままの自分でいいと彼が言ってくれているようだった。
悟さんが庇ってくれることもあり、お義母さんは強く言えず手に持っていたグラスに視線を移した。
──ブーブーブー。
すると突然、彼のスマホに突然着信が入った。
テーブルに置かれたスマホが振動を続けている。
彼はスマホのディスプレイにちらりと視線を移すとほんの少し顔色を変えた。
「もしかして会社ですか?」
小さく尋ねると彼は頷いた後、「いいんだ」と答えた。
でもこんな休日に連絡がくるということは、何か緊急のことかもしれない。
すると、その一瞬の会話を見逃さなかったお義母さんが強い口調で言う。
「悟、行きなさい」
「しかし……」
彼はお義母さんに目線をやる。お義母さんが私に何かしないか心配に思ってくれているんだろう。
「問題ありませんから」
私は彼にだけ聞こえる声で伝えた。
「分かった、すぐに戻る」
彼はスマホを持つと、小走りで会場を後にした。
お義母さんは悟さんがいなくなると、案の定これがチャンスとばかりに私を捲し立ててくる。