年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
なんて甘い言葉を囁かれ、ちゅっとおでこに軽いキスをされては、すぐになだめられてしまう。
いつもの繰り返した。
私は黒のタートルネックの服に着替えた。
それから電車で移動をして、吉野さんの経営するBARまでやってきた。
「いらっしゃい、悟。沙織ちゃん」
都会にひっそりと佇むビルの地下。階段を下っていくと温かなオレンジの照明に、ムーディーなジャズが流れる店内が広がる。あまり広すぎず狭すぎもしない店内はほっと心を落ち着かせてくれる。
吉野さんに促され真ん中のカウンターに悟さんと並んで座った。
「何飲みたい?」
吉野さんがバーテンダーの服装をしてシェイカーを持っている。
「沙織ちゃんのためなら心を込めて作るよ」
ニコッとやわらかな笑顔を作る吉野さん。
これはモテるのも分かる気がする。
「沙織に話しかけるな」
そんなことを思っていると、すぐに悟さんの制止が入った。
「そんな無茶な……」
ドリンクメニューはたくさんの聞いたことのないお酒があり、何を頼んだらいいのか分からない。
それを察してくれたのか、悟さんが代わりに注文をしてくれた。