年の差契約婚～お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません～

「俺はいつもの。沙織にはキール・ロワイアルを」
「はいはい」

吉野さんはアルコールを手早く入れると、シェイカーを使ってミックスし、出来たお酒をグラスに注いでくれる。

細長い指先を見せながら、手慣れた手付きでお酒を作る動作が綺麗で思わず釘付けになってしまった。

「もしかして見惚れちゃった？」

ニヤリと笑いながら、私の前にグラスを差し出す吉野さん。

「悟から俺に乗り換えてもいいんだよ？」
「え、えっと……」

そんなことを口走ればすぐに悟さんが口を挟んでくる。

「おい、冗談でも怒るぞ」

吉野さんはお酒に合うおつまみをいくつか用意してくれた。
軽くグラスを掲げて乾杯してから口をつける。

ほどよい甘さとすっきりとした爽やかさが口いっぱいに広がった。

「美味しい……」
「これはシャンパンベースのお酒だね」

私が普段飲みなれているものにアレンジを加えたものを悟さんは頼んでくれたらしい。

「沙織は気にいると思ったんだ」

ふわりと笑顔を見せる悟さんにドキッと胸が音を立てた。
この場所の雰囲気のせいもあるのか、やたら悟さんがカッコよく見える。