年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
するとそれを見た吉野さんは嬉しそうに言った。
「二人が幸せそうでなによりだよ。悟が沙織ちゃんと離婚した日には泣き崩れて大変だったんだから」
「おい、脚色するな」
「その話、聞きたいです……!」
「沙織もやめてくれ」
私と吉野さんは目を合わせて思わず笑った。
「まぁ時間もあることだし、ゆっくり話していこうか」
吉野さんは私のグラスが空くと、新しいお酒を作ってくれたり器用に手を動かしながら話をしてくれた。
「悟はね、昔から沈着冷静で感情がないなんてよく友達から言われていたんだよ。それが沙織ちゃんと出会ってからは全く変わっちゃってね、驚いたよ」
「やめてくれ……」
聞いたことの無い話に私は興味深々だが、悟さんは参ったというように手のひらをおでこにあてている。
こんな悟さんを見られるのもレアなのでしっかり堪能しておく。
「一目ぼれした、から始まって結婚まで行ったのに沙織ちゃんが可愛すぎて目が見られなかったり……クール装ったりね」