年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
「そ、それは脚色ですよね?」
私が悟さんに尋ねると悟さんはそっぽを向くだけで何も言わなかった。
「違うよ。これは本当の話しさ」
悟さんは観念したのか補足するように自ら口を開いた。
「もちろん、気味悪がられないように距離を置いていたのはある。でもそれ以上にキミが可愛くて……出来るだけ目を見ないようにしたり、遠ざけたり……はあった」
まさかの事実に私の顔に一気に熱が灯っていく。
「そ、そんな事実が……」
「もちろん悟がモテないわけじゃないんだよ?本気で好きな相手だとこんなになっちゃうっていうね、これで悟の溺愛っぷりが分かったでしょう?」
手で頬を抑えて、赤い顔を隠すこともできず、私は小さく頭を垂れた。こんなに想っていてくれたこと、気づかずにいたなんて。
「情けないと思うだろう、やはり連れてくるんじゃなかった」
寂し気な悟さんの声。
違うのに、全然思わないのに……こんな大きな愛に今更気づいて気づかなかった分だけ恥ずかしくなっているだけだ。