年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


「もっと聞きたい?」

さらに吉野さんが煽ってこようとした時、突然カラン、カランと音を立てて店の扉が開いた。
あれ……お客さん?

視線を入り口に移すと、髪をほんのり巻いた品のあるキレイな女性が立っていた。
あれ、この人どこかで見たことあるような……。

「あら、悟くんじゃない」

その女性は悟さんを見るなりこっちにやってくると、彼の肩を両手でポンと叩いた。
間違いない、あの人は……。

私が朝日くんとカフェでお茶をしている時にいた女性だ。

「悟くんに会えるなんて嬉しいなあ。あれからどう?」
「おかげ様でみんなのルーティーンになってるよ。提案してもらえて良かった」
「やったぁ~!やっぱり私のお陰ね」

親しそうに悟さんと話をする女性。
しかも楽しそうで悟さんも普段見せない笑顔を彼女には見せている。

あの時、あの人といい感じに見えて付き合っているのかもしれないって思ってた。
それなのにすっかり忘れて私は……。

悟さんと彼女はどういう関係なんだろう。
不安が心をよぎる。

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