年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
なるほど……。
社員の将来のことを考えて、うちでも導入を検討してみるのもいいかもしれない。
提案してみようかな。
うちの会社も新しい風を吹かせたいと言っていて、新たな意見を積極的に採用するようになってる。
「明日もある、そろそろ帰ろうか」
「はい」
私は吉野さんのお姉さんの会社の名前を聞き、HRを教えて貰い、この場はお開きになった。
「今日はありがとうございました」
「いえいえ、二人ともお幸せに」
吉野さんにそう声を掛けて貰えて嬉しくなった。
前に偽装夫婦をして婚約パーティに参加した時、吉野さんからは「また会えたらいいな」という言葉をもらった。
それは悟さんと私が上手くいってくれることを願っての言葉だったのだろう。
悟さんは吉野さんを邪険に扱う様子もあるけれど、二人の関係性を見て素敵だなと思った。
外に出ると、冷たい風が吹いていた。
アルコールでほんのり熱を持った頬に触れ心地よく感じる。
「今日はありがとう」
私は悟さんの方を見た。
「吉野はあんなんだが、信頼出来る唯一の友人だ。キミを改めて紹介出来て良かった」