年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~


「いえ、私はすぐに帰ります」
「用事があるのか?」
「用事はないですけど……」

元夫と、しかもほとんど会話をして来なかった園城さんと二人で食事だなんて、何を話したらいいか分からないし、正直気まずい。

「もう予約してあるんだ。少しでいい、付き合ってほしい」

それって、私に選択肢はないってことじゃ……。

私の都合を考えないところは変わっていないらしい。

「分かりました」

予定も無かったし、このまま去るわけにもいかず、私は園城さんに案内されるがままついていった。

大きなビルの中の地下一階にある日本料理の店に入ると、当然のように個室に案内される。

もの静かで落ちついた雰囲気のお店だった。

上着を預かって貰い座敷に座ると、乾杯のシャンパンと前菜が運ばれてきた。

こうして静かな空間で2人きり、向かい合って食事をするのはほぼ初めてに近い。

向かい会って座っているだけでなんだか恥ずかしい。園城さんはどう思ってるんだろう

シャンパングラスを手に持つ園城さん。私も同じように持った。

「お仕事は大丈夫ですか?」

「ああ、秘密にしてくれ」

まだ仕事中だもんね。
それにしてはこんなところで堂々と……。

「では……」

私たちは遠慮がちにグラスを合わせた。




< 42 / 224 >

この作品をシェア

pagetop