年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
忘れないうちに、カバンの中の紙袋を受け渡すと園城さんは思い出したように「ああ」と言ってそれを片手で受け取り、カバンにしまった。
「驚きました、まさか1000万振り込まれるなんて……そんな人園城さんくらいしかいませんよ」
「そうか?キミは財産も全て放棄して出ていっただろう。怪我してお金に困っていたらと思ってな」
「それにしても1000万って……額がおかしすぎます」
「500万なら受け取ってくれるのか?」
「そうじゃなくて!」
気づけば自然に話している自分に驚いた。
結婚してた時は、何を話したらいいか分からなくてただ黙って食事を取るだけだったのに。離婚した方が話せるようになるのなんてきっと私たちくらいだろう。
前菜の茶碗蒸しに手をつける。ピンク色のジュレの上に柚子が乗っていた。
「美味しい……」
ピンクのジュレは人参をペーストしたものらしい。色鮮やかで品のある味だった。
「口に合ったのなら良かった」
食べ終えるとちょうどいいタイミングで次の料理が運ばれてくる。
私たちはしばらく料理を堪能していた。
「こうしてゆっくり食事をするのは初めてでしたよね?」
「そうだったか?」
はいはい、もう私との生活は覚えてないと?
まぁ園城さんにとって、私との暮らしに特に思い出も無かったでしょうからいいけど。
「君が嫌いなのかと思っていた」
「えっ」
「外で食べてもあまり嬉しそうな顔をしなかったから」