年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
それはだって園城さんが何を考えているか分からなかったから。
っていうか嬉しそうな顔しなかったって言った!?
私が勢いよく顔を上げると、園城さんは綺麗な手つきで鯛の煮付けをほぐして食べていた。
「私の顔……見ていたんですね」
「どういうことだ」
「一度も目が合ったことが無かったから、私のことなんて見てないって思ってました」
園城さんが私をまっすぐに見つめてくれたのは、酔っていたあの日の夜だけだ。
私が帰ってくるのを迎える時も、外で食事をする時も園城さんはどこか別の方を向いていて、一度だって目が合ったことがなかった。
"まるで私たちの心の距離みたい"
ずっとそんな風に思っていた。
「君と目が合うと、どうしていいか分からなかった」
「な……っ、なんですかそれ」
かあっと顔に熱が集まる。
まるで恥ずかしがってるみたいに捉えてしまって、思わずドキっとしてしまった。
そんなわけない。
あの園城さんが照れていたなんて。
そもそも本当にそうだったら、私たちの仲は離れていない。
「わ、私はそんなに鬼嫁じゃなかったですよ」
恥ずかしさを誤魔化すようにふざけて言ってみる。
すると、いつも表情を崩さない園城さんが小さく笑った。
「フッ、それもそうだな」
……笑った。