年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
私は驚いてポカンと口を開けたまま園城さんを見た。
ワガママを言って欲しかったってどういうこと?
園城さんは、結婚相手に自分の後ろをそっとついてくる女性が欲しかったんじゃないの?
「いや、すまない。こんなこと今更言うことじゃないな」
園城さんはパッと目を逸らし、困ったように頭をかいた。
「ドレスはずっと母さんのブランドを着てくれていたな。でも、キミに似合うものがもっとあるんじゃないかと思って、今回買ったんだ、少しでも楽しんでるもらえるように」
「もうこれっきりなのに……」
「俺のワガママだ。嫌だったら今からでも他のを用意しよう」
私は唇をきゅっと噛み締めると、首を横に振った。
嫌なんかじゃない。
すごく嬉しかったんだ。
だからこそ、結婚生活を思い出して虚しくなってしまった。
「今日は何も考えず一緒に過ごしてくれたらいい。キミの嫌がることはしない。遠慮なく伝えてほしい」
「分かりました」
私は真っ直ぐに見つめて返事をした。
何を思っても、もう私たちの関係は終わってる。
今は、役割を全うすることだけ考えよう。
自分の大好きなドレスを身に纏って、私は園城さんの腕にそっと手を添える。