年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
そういえば、離婚したことを言う中なのに私たちが一度も話したこと無かったのは、不思議だ。
「何でかと言うと悟は、俺に見せて沙織ちゃんを奪われるのを恐れてたんだよ」
吉野さんが言い放った瞬間、園城さんはしまったというような表情で頭を抱えた。
「奪われる?」
「吉野は女癖が悪すぎる。信用ならなかっただけだ」
そ、それって……私が吉野さんに目移りしてしまうんじゃないかって心配してたってこと?
園城さんが?
それは信じ難い話だ。
だってそれじゃあ結婚した時から私のこと、好きだったみたいじゃない。
そんなことは当然あるはず無い。
園城さんは結婚した時はおろか、離婚する時まで私に興味が無かったのだから。
私が園城さんに視線をやると、困ったように眉をひそめている。
そして──。
「悟!イタリアの外交官が呼んでるぞ」
パーティー会場の窓から顔を覗かせた男の人が彼を呼んだ。
園城さんはタイミングの悪さに小さく舌打ちをすると、吉野さんの肩を押した。
「とにかく、変なことは言うな。もう散れ」
「え〜せっかく面白くなってきたのに」
「沙織も、コイツの話しは聞かなくていい」
「は、はい!」
思わず返事をしてしまい、それを見て吉野さんはニッコリと微笑んだ。
「いいか、もうしゃべるなよ」
園城さんはその言葉を残し、駆け足で会場に戻っていった。
「僕の前なら沙織、なんて呼ばなくていいのにね?まるで自分のものだって言ってるみたいだ」