年の差契約婚~お別れするはずが、冷徹御曹司の愛が溢れて離してくれません~
「い、いえ……私たちはずっと冷え切った関係でしたので」
「僕の前ではそうじゃなかったけどね」
えっ……。
私がバッと顔を上げると、吉野さんは艶やかに笑った。
「悟は嫌なことがあると毎回うちで飲んでくわけよ」
嫌なこと……もしかして家になかなか帰って来なかったのも、帰るのが嫌で呑んで帰ってきてたとか?
昔の記憶が頭をよぎる。
いつも園城さんの帰りは遅かった。一夜を共にした日だってかなり酔っ払っていたはず。
「アルコールがすすむ度、悟は沙織ちゃんの話をしてた。可愛くて目を見ることが出来ないとか、我慢しないで本音を言ってほしいとかね」
「……ウソ」
これは誰の話だろう。自分のことを言われてるようには思えない。
「……そんなはずありません」
私はすぐに否定した。
だって家庭の中にいる園城さんは私に興味がなくて、それから最低限のことしか話さない。
私の目を見ることなく、すぐに自分の部屋に戻ってしまった。それは私との生活を避けていたということ。
そんな生活に愛なんてあるわけなくて、私たちの関係は冷え切っていたはず。
「アイツは昔から不器用なんだよ。特に本当に好きだと思った相手にはね」