クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 彼女は手ぶらで、これから外へ出かける様子にも見えない。エントランスの奥にある休憩スペースにでも向かおうとしていたのだろうか。

 どんな理由でいたにせよ、わざわざ青年を手伝うために飛び出してきたのかと思うと、親切すぎるというか、変わった女性もいるものだと思った。

 同時に、青年を放置して自分の用事を優先させようとした事に、居心地の悪さと罪悪感を覚える。

 今からでも手伝うべきだろうか。いや、今更手伝ってもわざとらしいか。

 ほんの数秒悩んでいると、急に突風が吹きあげて俺のほうに書類が一枚飛んできた。

『すみません、それ……!』

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