クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 髪が乱れるのも構わず走り寄った彼女は、俺の身体に張り付いた書類をすぐに取った。俺が自分で取る前に、だ。

『よかった。ありがとうございます』

『いや……』

 にこやかに見上げられ、気まずさが強くなる。

 しかし彼女は俺を責める事なく、次の瞬間にははっとした表情で申し訳なさそうな顔をした。

『触ってしまってすみません』

 俺の反応が遅れただけなのだから、謝る必要はまったくない。

 そう伝えようとした時、再び風に巻き上げられた書類がぺたりと彼女の顔に張り付いた。

『んー!?』

 今度は彼女よりも早く身体が動き、顔を覆う書類をつまんで引きはがす。

『髪が乱れてしまったな』

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