囚われのシンデレラ【完結】
「お兄ちゃん、待って……っ!」
玄関から出て行こうとする私たちを、妹さんが追いかけて来た。
「由羅――」
「どうして? 7年前、お兄ちゃんは自分の想いを貫こうとしたのに、結局裏切られたんじゃない。それなのにどうしてまた同じことをしようとするの? そんなのおかしいよ!」
裏切られた――?
「この結婚は、もう決めたことだから」
西園寺さんが、自分の腕を掴む由羅さんの手をそっと離した。
「じゃあな」
「お兄ちゃん――っ!」
玄関のドアを開けて出て行く西園寺さんの後に続く。会釈だけして妹さんの横を通り過ぎようとした時、その目が鋭く私を睨みつけた。
私が助手席に乗り込んだところで、西園寺さんが口を開いた。
「覚悟をしておけとは言ったが悪かった。気分のいいものではなかっただろう」
ハンドルに手を置いて、ふっと息を吐く。
「俺の家族が言ったこと、君が気にすることは何もない。こうなることは全部想定内だ。それに――」
西園寺さんの言葉、妹さんの言葉、どれもが私を落ち着かなくさせる。
「俺が父親に言った言葉も、あれは全部昔のこと。この結婚に真実味を持たせるために言ったことだ。君に感情は一切残っていないと言ったのは本当だから、気にしなくていい。この結婚は、ただの契約だ――」
「西園寺さん、待ってください!」
さっきから震え続けている手をぎゅっと握りしめ、西園寺さんの方に顔を向けた。
「……7年前、私は西園寺さんを裏切ったの?」
前を見続けている西園寺さんの感情のない横顔を必死に見つめた。