囚われのシンデレラ【完結】
「これを渡しておく」
それから数日後、西園寺さんが一枚のカードを渡して来た。
「これで必要なものは何でも買ってくれ。俺は、年明けには役員に名を連ねることになる。そのカードで、妻として相応しい持ち物を揃えておいてほしい」
クレジットカード――。
「早速だが、新年にホテル業界のパーティーがある。それは頭に入れておいてくれ」
「……はい」
手渡されたカードを受け取る。そして、そのカードをまじまじと見つめた。奇しくもこの日はクリスマスだった。
クリスマスプレゼント――それにしては、あまりに哀しすぎるけれど。
「それから、君の今の仕事のことだが――」
昨日と今日――つまり12月24日と25日の2日間、レストランの繁忙日で帰りが遅かった。午前中早い時間に病院に行き、それからレストランで夜の営業時間が終わるまで働いていた。
「君は正社員で働いているだろ。今すぐとは言わないが、辞めることは出来るか?」
「……え?」
結婚をしたことによって自分の仕事をどうするか、考えてもいなかった。
「せめて、勤務時間の短いパートタイムにするか――」
確かに、この先西園寺さんの妻としてこなさなければならない役割もあるだろう。それに、センチュリーの御曹司の妻がレストランで働いているというのは面目も良くないのかもしれない。
「分かりました。人手に余裕があるわけじゃないのですぐにとは行きませんが、店長に伝えます」
「申し訳ないが、そうしてくれ」
そうなると自分の収入が減ってしまう。手術費に入院費、それに、母が退院した後の生活費。
パート勤務だった母に給料の保証はない。年齢のことも考えると、あまり無理させたくはない。
そうなると、それなりにまとまったお金が必要になる――。