囚われのシンデレラ【完結】
「西園寺さん――」
床から畳に足を踏み入れると、こたつの座卓に頭を載せて目を閉じている西園寺さんの姿が視界に入った。
寝てる――?
そっと畳の上にお盆を置いて、西園寺さんのそばに近付いた。
こたつの心地よさは簡単に眠気を連れて来てしまう。
疲れているのだろうか。仕事がかなり大変なのだろうか。
それとも、何かあったのか。
あの夜の西園寺さんは間違いなくいつもと違った。あんなに酔わなくてはならないほど辛いことがあった――。
真っ直ぐに伸びたはっきりとした眉も、すっと伸びた鼻も、凛々しい唇も。そして、閉じた瞼も。こんなにも間近で、じっくりと西園寺さんの顔を見つめることが出来るのは――7年前以来だ。
私は、あなたのことを知ることはできないの――?
不意に伸ばそうとしてしまった手を、すぐに引っ込める。
手を伸ばせば簡単に触れられる場所にいるのに、やっぱり触れられない。
この人は、私のものじゃない――。
どれだけ近くにいても夫婦でも、この先もその切なさと闘い続けなければならないのだろう。
気持ちよさそうに寝ているのを起こしたくなくて、その肩に毛布を掛けた。壁に掛かる時計を見る。あと少しでこの年も終わる。新しい年は、私にとってどんな年になるのだろう。