囚われのシンデレラ【完結】
「……西園寺さんは知っていますか? 8年前、どうして公香さんのお父様が西園寺さんの会社を助けてくれたのか」
「あずさ――」
「公香さんが頼んだからです。縁談は破談になっても、助けてほしいって。西園寺さんを好きだというその一心で。西園寺さんのために、自分の人生を差し出したんです。西園寺さんと結婚できなければ、他の人と結婚する約束をしたんですよ。その通りに、これから他の人と結婚しなければならないのに、私は酷いことを……っ」
公香さんのところに行かせたくないと言った。
”たった一度でいい。私だけを見てくれる時間がほしい”
そんな切実な想いを、愛し合っている夫婦でもないのに妻みたいな顔をして――。
自分の浅ましさに震える。
「私は――」
「いいんだ。あずさが気に病むことじゃない。全部、俺自身の問題だ」
震える身体を後ろから突然きつく締め付けられた。
「何もかも、知っている。知っていても、縁談を受け入れられなかった」
耳に触れそうなほどの場所から聞こえる声と、私の身体を囲う腕も胸も。それが、誰のものか理解出来ない。
「俺があずさを、愛しているから」
私の胸元できつく交差する腕に、より力が込められる。
「好きなんだ。どうしようもないほど」
息が止まる。
呼吸を忘れて立ち竦んだ。