囚われのシンデレラ【完結】
通常業務をしながら、密かに過去の会計処理を調べることに着手した。
あれから3日が過ぎ、公香さんの容体はまだ変わらない。でも、漆原のことだ。何が何でも助けるに決まっている。
目を覚ました後の身体的損傷を考えても、一刻も早く目を覚まさしてくれとそう願う。
遥人から公香さんのことについて、何か言って来ることはない。
父から聞いているのかいないのか、その表情からは窺い知れない。
でも、その耳に入っていると考えておく方がいいだろう。
あずさは家から一歩も出していない。固定電話は通話不能にしてある。誰も連絡することは出来ないはずだ。
あずさを一人家に閉じ込めている。少しでも早く帰りたいと思っていた。
この日は、オープンするホテルがらみの案件が落ち着き、早く上がることが出来た。
二人でちゃんと話をしようと言ったのに、公香さんのことがあってその約束が果たされないままになっている。
今日こそ、ちゃんと話をしよう――。
「これから帰る」とメッセージを送って、家路についた。
玄関の扉を開け「ただいま」と声を掛けても、あずさの声は返って来なかった。不思議に思いながらリビングダイニングへと向かう。
部屋に明かりはついていた。ドアを開け足を踏み入れる。
「あずさ、ただいま――」
フローリングに座り込んだあずさが、スマホを手から零し、俺の方へと振り向いた。その顔から色が消えている。
「西園寺さん――」
その普通でない様子に駆け寄った。