囚われのシンデレラ【完結】
「……今思えば、確かにおかしいことばかり。柊ちゃんと抱き合ったことなんてないのに、どうしてあの場面をたまたま撮ることが出来たのか。柊ちゃんが、あの日わざわざ私を公園に呼び寄せて――あの時にはもう、柊ちゃんは斎藤さんと……?」
「最適な写真を撮るために、遥人があらかじめ指示していたんだろう」
「コンチェルトの日も、私、西園寺さんを見かけて必死に追いかけたの。でも見失って。そんな私を柊ちゃんが一方的に抱きしめて来て。それも、全部、最初から――」
あずさのような人間にとって想像すらできない悪意を自分に向けられて。この7年を、どう整理したらいいのか分からないはずだ。
「ごめん、あずさ。俺があずさを最後まで信じきれなかったから、こうして苦しめることになった。あずさに冷たく当たって。あずさが俺に伝えようとしていたのに、それさえも突っぱねた。本当に、ごめん。遥人のしたことは許されることじゃない。でも、誰より責任があるのは俺だ――」
あずさを愛していたのは俺だ。誰より俺が、あずさを信じていなければならなかった。
もう一度深く頭を下げる。
こうして謝ることに何の意味があるのかも分からない。こうして謝ることしか出来ない自分が許せない。
「俺は、あずさに二度も辛い思いをさせたんだ。一度目は7年前。そして、二度目は今だ。あずさに酷い言葉をかけ、辛い結婚をさせた。二人で暮らした時間は、あずさにとってただ苦しいだけのものだっただろう。本当に、俺は――」
「西園寺さん」
「あずさ、ごめん!」
「西園寺さん、顔を上げて」
その手が俺の腕を掴んだ。
「もう、私の言葉を信じてくれるんですよね? 何を言ってもいいんですよね?」
あずさが涙をこらえた目で俺を見ている。
その目は、苦しみをこらえたものだった。