囚われのシンデレラ【完結】
「心で繋ぎ止められないんだったら、身体を使えばいい? それで繋ぎ止められるなら、私は何でもする……っ」
西園寺さんをソファに押し倒し、馬乗りになった。
自分の手でカットソーを腕から引き抜き、ブラのホックに手を掛ける。
「あずさ、やめるんだ」
私を押し止めるためだけに触れている西園寺さんの手を、無理矢理自分の胸に押し当てた。
それなのに、その手は自ら動こうとはしてくれない。それが惨めでたまらない。自棄になって、自分の手でそれを動かす。
「あずさ」
自分からこんなことをしたことはない。
必死だった。軽蔑されるかもしれないと頭の片隅で思いながらも、これ以外の手段が見つからない自分に失望する。
「身体だけでもいいから、私を欲しいと言ってよ!」
どうすれば、私の身体を求めてくれるのか全然分からない。優しく愛されることしか知らないから分からない。
「あずさ……っ!」
そんな惨めなだけの私を、西園寺さんが力づくで抱きしめた。その手を振り払おうと暴れても、力で西園寺さんに敵うはずなどない。
「あずさ、もうやめるんだ」
絞り出すみたいに苦しげな声に激しく胸が痛む。
「どうして……。私は、もう、何をしてもだめなの……?」
きつく閉じ込められた身体は、抵抗を諦めた動物みたいになって。西園寺さんの胸に、ただなされるがままに顔を預ける。
「……自分が、こんなにどうしようもない女だったなんて知らなかった。私、みっともないですね……。こんなことしたって、西園寺さんに嫌われるだけなのに。こんな私じゃ、いらないって思われても、仕方ない――」
「違う。あずさを苦しめているのは俺だ。あずさを嫌いになったりなんかするはずない。絶対に」
私を抱きしめる腕の力が込められた。西園寺さんの胸の早い鼓動がより近くで聞こえる。
どうしたらいいのか分からない。
離れる以外に、西園寺さんのために出来ることがあるのか。
何も思い浮かばないくせに、その身体にすがりつく。
その日、西園寺さんは、それ以上何も言わずにずっと私のそばにいてくれた。西園寺さんにしがみつく私を、身体ごと全部包み込むように抱きしめて。二人毛布にくるまるように、夜を越した。