囚われのシンデレラ【完結】
「……どなた、ですか?」
胸のあたりまである長い髪が毛先だけカールされている、綺麗な女性だった。大きな瞳が、訝し気に私を見ている。
この人は、西園寺さんとどういう関係なのか。少なくとも、私と同じように西園寺さんの留守中に部屋に入ることの出来る人――。
嫌な想像が過りそうになって、すぐさま打ち消す。容赦ない鋭い視線に晒され、心臓がバクバクと打ち付ける。
本当のことを言ってもいいのだろうか――。
一瞬迷いはあった。でも西園寺さんがいないのにこの部屋に入っている時点で、ただの知り合いではないと分かるはずだ。意を決して口を開こうとした時だった。
「もしかして……、今、お兄ちゃんと付き合ってるっていう方ですか」
お兄ちゃん――?
『妹がいるよ。わがままなのが一人』
以前、西園寺さんが話してくれたのを思い出す。
「は、はい。初めまして、進藤あずさと言います」
西園寺さんは、ご家族にも私とのことを話していたのか――。
私たちは、付き合い始めてまだ半年程度。自分がまだ母親にもちゃんと報告できていないことを思い返すと、少し驚いた。
「忘れ物をしてしまって取りに来たのですが、もう見つかったので失礼しようと思っていたところでした」
初めて会う、西園寺さんのご家族。いいようのない緊張が自分の身に押し寄せる。懸命に笑顔を作ろうとしているけれど、果たしてまともな笑顔になっているのか自信がない。
「あなたが……」
頭のてっぺんからつま先まで、じっくりと見られているみたいでいたたまれない。
白い肌にお人形のような目鼻立ちのはっきりとした容姿は、こうして西園寺さんの妹だと聞けば納得だった。
「進藤……さんは、大学生なんですよね?」
「はい。今、2年です」
先ほどから私に向けられる視線が険しい。
「兄とは、どういうつもりで付き合っていますか?」
「どういうつもり、とは……」
どこか責めるような口調に、言葉に詰まる。