甘くてこまる
思わず、息を呑んだ。


太陽の光を透かした髪は、1本1本が光り輝くようで。
瞳の中の水分がきらめいて、まるで小さな泉のようで。

ぼけた背景の湖の緑がかった青色が、画面のやわらかな神聖さを際立たせている。



そこに映る郁の横顔は、およそわたしと同じ人間には思えず、神さまみたいに特別な美しさで。




「すげえ、よく撮れてるじゃん」




自分でも、そう思う。
衝動的に撮ったとは思えないほどの完成度で、びっくりだ。


自分の写真に感動したのは初めてで、写真から目が離せない。



ここに光が当たって、こう影が落ちるのなら、もし、他の角度から撮影したら――。

郁を被写体に試したいことがむくむくと湧き上がってきて、疼く心を見透かしたかのように、郁が口を開く。




「もっと撮ってよ。せっかくだからさ」

「っ、本当に? でも……いい、の?」



「ちょうど、写真欲しかったし。SNS用にもっと写真撮れってマネージャーに言われてたけど、どういうタイミングで撮ればいいのかよくわかんなくて放置してたから、助かる」



「そういうことなら……」




おずおずとレンズを向けると、郁はくしゃりと笑った。
その表情があんまり眩しいから、指が勝手にシャッターを切ってしまう。


ころころと表情を変える郁を写真に収めていくのは、楽しくて仕方なくて、夢中で撮影していった。

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