甘くてこまる
「どう?」
「見て、すごく良く撮れたっ」
わたしにはもったいないくらいの被写体だ。どう切り取っても絵になってしまうから枚数が自然と増えてしまった。
「せーらのお気に入りは?」
「ええと……」
どれも良くて、絞るのが難しい。
ギャラリーの中を行ったり来たりして、最終的に1番良いと思ったカットを指さした。
「これかなぁ。この、おっきな口開けて笑う郁が1番好き」
見ているだけで気持ちが明るくなっていくような1枚。
郁は驚いたように目を見開いて「俺、こんな顔して笑ってんだ」って小さく呟いた。
「じゃあ、それインスタに載せようかな。後で送ってよ」
「うん、わかった」
郁のおかげで、この短い時間で写真の腕前が上がったかも。
ほくほくとした気持ちで、カメラをケースにしまい、片付けを進めようとしていると。
「なあ、俺もカメラ借りていい?」
「へ……? う、うん。いいけど、どうして?」