甘くてこまる
✧︎ 糖度30%

「???」


𓐍
𓏸


「――天使みたいなんだから」



本当に天使みたいだ。


モニターに映し出された、はにかむせーらの写真をひと撫でして思った通り呟いたら、俺の声が聞こえなかったのかせーらはきょとんと首を傾げた。



可愛いとか、そういう歯の浮くような褒め言葉はすらすらと口から飛び出ていくのに、肝心のことはいつまでも伝えられずじまいだ。



これは職業病だとかそういうやつでは決してなく――ただ、俺がどうしようもなく情けない性分なだけ。

歯の浮くような甘いせりふでごまかしていなければ、ふとした瞬間に、煮詰めた本心が口から飛び出ていきそうなだけ。



覚悟が決まらないのは、自分の気持ちが、ひとりの女の子に渡すにはあまりにも重すぎると知っているからだ。




――――もう、ずっと。

ずっと、気が遠くなりそうなくらい長い間、せーらのことが好きなんだ。



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