死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
* ── * ── *
クローディアが皇帝である長兄・ルヴェルグに隣国の第二王子・ヴァレリアンとの結婚を願い出たのは、それから三日後のことだった。
「──結婚? ヴァレリアン殿下と?」
厳重な警備を越えた先にある皇帝の執務室は、職人たちが魂を込めて作った美しい調度品で溢れている。
中でも皇帝がほぼ毎日使用している机は、これ以上のものを作る人間はもういないとまで言われたほどの一級品だ。
その艶やかな黒塗りの机に書類を広げていたルヴェルグは、クローディアの突然の来訪に驚いたどころか、予想外のことまで言われ、思わず固まってしまっていた。
「はい、ルヴェルグ兄様」
クローディアはふわりと微笑む。リアンの瞳と同じ深い青色のドレスを着て執務室にやって来たクローディアは、今日は冬の花の精のようだった。
ルヴェルグは手に持っていた玉璽を置いて立ち上がると、クローディアの手を取り、部屋の角にある長椅子へと座らせた。自身はその向かい側にある一人用の椅子に腰を下ろすと、長い脚を組んでクローディアを見つめる。
「喜ばしいことだが、どうして急に?」
予想通りの質問をされたクローディアは、用意していた言葉を伝えていった。
あの一件──ヴァレリアンに助けられた日から、よく話すようになったこと。共に過ごすうちに、その人柄に惹かれていき、彼の夢を聞いた時に傍で支えたいと思ったこと。
そうクローディアが話終わると、ルヴェルグは驚いたように目を見張っていた。
クローディアが皇帝である長兄・ルヴェルグに隣国の第二王子・ヴァレリアンとの結婚を願い出たのは、それから三日後のことだった。
「──結婚? ヴァレリアン殿下と?」
厳重な警備を越えた先にある皇帝の執務室は、職人たちが魂を込めて作った美しい調度品で溢れている。
中でも皇帝がほぼ毎日使用している机は、これ以上のものを作る人間はもういないとまで言われたほどの一級品だ。
その艶やかな黒塗りの机に書類を広げていたルヴェルグは、クローディアの突然の来訪に驚いたどころか、予想外のことまで言われ、思わず固まってしまっていた。
「はい、ルヴェルグ兄様」
クローディアはふわりと微笑む。リアンの瞳と同じ深い青色のドレスを着て執務室にやって来たクローディアは、今日は冬の花の精のようだった。
ルヴェルグは手に持っていた玉璽を置いて立ち上がると、クローディアの手を取り、部屋の角にある長椅子へと座らせた。自身はその向かい側にある一人用の椅子に腰を下ろすと、長い脚を組んでクローディアを見つめる。
「喜ばしいことだが、どうして急に?」
予想通りの質問をされたクローディアは、用意していた言葉を伝えていった。
あの一件──ヴァレリアンに助けられた日から、よく話すようになったこと。共に過ごすうちに、その人柄に惹かれていき、彼の夢を聞いた時に傍で支えたいと思ったこと。
そうクローディアが話終わると、ルヴェルグは驚いたように目を見張っていた。