死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる
そんなリアンの姿を囚われたように見つめていたシスターは、その姿が遠のくと、その場で崩れ落ちた。
「…神よ、感謝いたします……」
──『金色の髪のお兄ちゃんと、お姫様のようなお姉ちゃんが来たよ』
子供たちが嬉々としてそう語っていたのは、秋の初めだった。この忘れ去られた教会に一体誰が来たのか、もしくは昨夜の夢の話だろうとシスターは思っていたのだが。
それが夢ではなく現実であったことを知ったのは、実りの季節の終わりだった。皇帝の妹である皇女が、隣国の第二王子と結婚したという報せと、その吉報とともに沢山の支援が届いたのだ。
皇族の証である紫色の薔薇の紋章が付いた馬車が二台来たのは、つい数日前のことだった。
大きな箱の中には、栄養価の高い日持ちのする食材、衣類など生活に欠かせない物だけでなく、玩具や筆記具、冬でも育つ野菜の種が溢れんばかりに入っていたのだ。
この教会は、見捨てられていたとシスターは思っていた。
宰相が治めている地であるこのグロスター侯爵領は、国一豊かな地と言われているが、直系ではなく分家の人間の管轄だからか、きちんと管理されていないのだ。
豊かな中心地からは離れた、寂れたこの地に、当然観光者は来るはずもなくて。何年経っても貴族が視察に来ることもなければ、何故か教会の前に捨てられた子供が増えるばかりで。
この先どうやって生きていこうかと頭を悩ませていたある日、奇跡は起きたのだ。
シスターは涙を拭い、ゆっくりと立ち上がると、生まれ故郷から運んできた聖像を見上げた。石造りのそれは、平和を愛し、命を慈しんだという母国の神・アターレオの像だ。
「……アターレオ様。ヴァレリアン殿下をこの地に遣わしてくださり、ありがとうございます」
たとえ故郷の人々が、リアンのことを神を冒涜する者だと心無い言葉を浴びせたとしても。リアンの優しさと温かさを受け取った自分と子供たちだけは、ずっとずっと味方でいよう。
胸の中に大きな希望を抱いたシスターは、畑でリアンと野菜の種を植えている子供たちの元へと向かって歩き出した。
「…神よ、感謝いたします……」
──『金色の髪のお兄ちゃんと、お姫様のようなお姉ちゃんが来たよ』
子供たちが嬉々としてそう語っていたのは、秋の初めだった。この忘れ去られた教会に一体誰が来たのか、もしくは昨夜の夢の話だろうとシスターは思っていたのだが。
それが夢ではなく現実であったことを知ったのは、実りの季節の終わりだった。皇帝の妹である皇女が、隣国の第二王子と結婚したという報せと、その吉報とともに沢山の支援が届いたのだ。
皇族の証である紫色の薔薇の紋章が付いた馬車が二台来たのは、つい数日前のことだった。
大きな箱の中には、栄養価の高い日持ちのする食材、衣類など生活に欠かせない物だけでなく、玩具や筆記具、冬でも育つ野菜の種が溢れんばかりに入っていたのだ。
この教会は、見捨てられていたとシスターは思っていた。
宰相が治めている地であるこのグロスター侯爵領は、国一豊かな地と言われているが、直系ではなく分家の人間の管轄だからか、きちんと管理されていないのだ。
豊かな中心地からは離れた、寂れたこの地に、当然観光者は来るはずもなくて。何年経っても貴族が視察に来ることもなければ、何故か教会の前に捨てられた子供が増えるばかりで。
この先どうやって生きていこうかと頭を悩ませていたある日、奇跡は起きたのだ。
シスターは涙を拭い、ゆっくりと立ち上がると、生まれ故郷から運んできた聖像を見上げた。石造りのそれは、平和を愛し、命を慈しんだという母国の神・アターレオの像だ。
「……アターレオ様。ヴァレリアン殿下をこの地に遣わしてくださり、ありがとうございます」
たとえ故郷の人々が、リアンのことを神を冒涜する者だと心無い言葉を浴びせたとしても。リアンの優しさと温かさを受け取った自分と子供たちだけは、ずっとずっと味方でいよう。
胸の中に大きな希望を抱いたシスターは、畑でリアンと野菜の種を植えている子供たちの元へと向かって歩き出した。