死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる


一方その頃、お忍びで外出したリアンを見送ったクローディアは、侍女のアンナを連れてエレノスを訪れていた。

「──久しぶりだね、ディア」

目の前で優美に微笑む兄・エレノスから誘いがあったのは、リアンが出掛けてからすぐのことだった。

今日は何をして過ごそうかと自室へと向かって歩き始めた時、エレノスからの遣いがやって来たのだ。

今まで──リアンと結婚するまで、クローディアはエレノスと数日に一度の頻度で会っていたが、ここ最近は新婚である二人を気遣ってのことか、公務以外で顔を合わせることがなかった。

忙しない日々を送っていたからか、エレノスがいない寂しさを感じることはなかったが、いざこうして久しぶりに顔を見ると、子供のように頭を撫でられたいと思ってしまう。


「久しぶり、だなんて。お兄様にそう言う日が来るとは思わなかったわ。…なんだか痩せられた?」

顔色を良く見せる化粧で誤魔化していても、クローディアには気づかれてしまったかとエレノスは苦笑を浮かべる。その目の下には隈があり、頬は少し痩けていた。

「…ああ、やることが山積みでね。でもディアの顔を見たから元気になったよ」

エレノスはふわりと微笑んだ。手に持っていたティーカップを上品な所作で置くと、クローディアへと手を伸ばし、ゆっくりと頭を撫でる。

「ふふ、お兄様ったら」

クローディアは心地よさそうに目を細め、久しぶりの兄の温もりに幸せな気持ちになった。
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